2017年6月25日日曜日

6月4日(日)柴又100K その2

柴又100K、100キロの続き。

後半再開してすぐ、VFFの中に違和感。しまった、急ぎすぎてごみが入ってしまったか。仕方ない。立ち止まり、もう一度VFFを脱ぐと、やはり枯れ草が紛れ込んでいる。せっかくあんなに急いだのに、というか急いだせいか。ごみを落として履き直し、改めて再開。しかし、被り物のさくらんぼが暑い。最初のエイドで一旦脱いで、ボランティアの子に水かけてもいいですかって声をかけて、被り物の中に水をかける。被り直す。よし、多少楽になった。再度走り直す。途中で同じくビブラムを履いたランナーに抜かれる。ビブラムーって叫ぶと、そっちも、とポーズを返してくれた。
また走り始めるが、前半最後に感じた足の重さは抜けていない。いやむしろ悪くなっている。かなりきつい。これじゃあ10時間は切れないぞと言い聞かせるが、足が動かない。橋を渡り、55キロ手前、後半最初の坂道を上っていると、ちょっともうだめだ、今年も失敗だった、ここから挽回できる気がしない、と、ギブアップ。坂を上ったところで立ち止まってしまった。足を伸ばして、さっき折り返しで声をかけてくれたランナーがいたなあ、すぐ後ろで追ってくるなあ、みっともないなあ、と思い、少しでも走ろう、とまた走り出す。なんとか我慢していると、どうにかキロ6分を切るくらいまで回復してきた。ああ、なんとか走り続けられそうだ。10時間とかとりあえず置いておいて、行けるところまで走っていこう。ときどきすれ違う往路のランナーがさくらんぼーって声かけてくれる。ありがとうございます。ファイトーって返していく。そうしてなんとか走り続けられ、だいたい60キロ地点、往路でエコ・スポいずみへと曲がるところを直進。沿道の人に、ここから追い風だぞ、って声をかけられる。思わずまじでー! ほんとにー! と叫び返して、勇気づけられた。よし、本当に追い風ならなんとかなるかと思い、走っていく。本当に追い風だったのかそれとも気の持ちようだったのか、ここらへんからはまたペースを回復。キロ5分40秒くらいまで上げることができた。順調に進んでいって、70キロが近くになり、また時間が気になり始める。70キロ地点で13時3分。ええと、あれ、よく分からんが、これもしかして10時間どころか9時間30分も切れるかもしれん。すごい順調だ。しかしここから気温が一番高くなる時間帯。気をつけて走らなくちゃいけないと言い聞かせる。60キロ部門のランナーと合流して、すれ違い、抜いていく。ときどきワラーチを履いたランナーがいて、ワラーチファイトーと声をかけていく。たまにビブラムファイトーって返してくれるランナーがいてうれしい。
しかし、ゴールが意識に入ってきたからか、次第に1キロ1キロが長く感じられてくる。だんだんつらくなってくる。次の給水所が遠い。給水所についてもかぶり水がない。こんなに暑いのになんでかぶり水ないんだよと悪態をついてしまう。コップの水を被り物にかけて、1度スポーツドリンクをかけてしまったりして、走り続ける。河川敷の長い長い道を走っていると、これでもゴールまだまだなんだよなあ、いつまで走ればいいんだよ、と気持ちがマイナスに向かっていく。100キロ走り切れたからってなんだっていうんだ。俺なんてチョンガーだしラン友とかラン仲間とかもいないし、100キロ9時間半切ったからって自慢する相手もいない。誰も反応してくれないだろ、ふーん、で終わり。なんのために走ってるんだろなあ、ここでやめても別に何も変わらないよなあ、と思ってしまう。しばらくそんな葛藤をして、ふと、ああいかんいかん、とにかく100キロ走ろう。100キロ走って、ゴールしたら会場の芝生に思い切り倒れ込んで寝てやる。そうだ、これ最高に気持ちいいだろうなあ。これを目標にしよう。
そして80キロ、14時。あと20キロを2時間半かな、大丈夫だろう。よしここで最後のブースト、カフェインを投入だ。80キロと90キロでカフェインを取ろうと決めていて、ポーチを探る。あれ、あれ、あれ、ない。えっ、どういうこと、カフェインないぞ。あっ・・・。大会前に荷物の準備をしていたとき、ポーチにいったん入れていたのを、カフェインはどうせ前半で取らないんだからとドロップバッグに入れ直していたんだった。そして50キロのレストステーションでは時間がなくてあせりすぎていて、ちゃんと荷物を移さなかったんだ。しまったああああ。ちくしょうちくしょう最後の踏ん張りがあああ。あーもう仕方ない、給水所にコーラがありますように。かなりショックを受けていながら、切り替えるようにして、走る。スペシャルバッグが置いてある給水所に到着。今回はスペシャルバッグは預けていないけれど。かぶり水をかけてもらい、コーラがあった、コーラを飲んで、すぐに走り出す。このコーラ効くといいなあ。その後も給水所ごとにコーラを探すけれど、なかなか置いてない。ああーカフェインがあ。結構引きずるなあ。そして90キロ。だいたい10キロごとに取ってきた補給食も最後だ。とポーチを探るが、補給食もない。おいおい・・・。これもあせりすぎたせいか。あと10キロで倒れることはないだろうけど、カフェインも補給もなしかよ、というか計画が崩れたのがきつい。それでもあと10キロ。耐えて走っていこう。
だいぶ涼しくなってきた。ペースは6分を切るくらいで走れている。それでも慎重に、給水所ではいったん立ち止まり、かぶり水をして走る。やがて最初に通った砂利道。最後の関門。去年は感覚がなくなったのかそれほど痛みは感じなかったけれど、今年は痛い。痛い痛いと声に出しながら、今年は痛いってことはまだまだ元気だってことだと前向きになって進む。けっこう長く感じる砂利道を抜けて、よし、もうゴールが見えるころだ。早くゴールしたい、芝生に倒れこみたい、と思い進むと、見えてきた、白いテント群が。よっしゃ、ゴールだ、ついにゴールだ、体はまだ動く、元気だ、いける。ゴールが近くにつれスピードが上がり、最後の下り坂を下りて、被り物に喜んでくれている沿道の人たちとハイタッチして、ゴール地点のテープを切るのに合わせて思い切り手を突き出し、ゴール。9時間22分。よっしゃああああああ。
メダルをかけてもらい、水を何杯もいただき、これが最高においしい、給水の方に何度もうまいっす最高ですと言って、念願の芝生に倒れ込む。横になっていたら、涙が出てきた。泣いてしまった。やった、走りきった。走ってよかった。そうしてしばらく横になってから、荷物を受け取り、着替えて、また水を飲み、ゴール地点をしばらく眺めて、会場を離れる。お疲れさまでした。

去年の思い残しはすべて回収した。9時間半を切るおまけ付きで。それにしても長かった。50キロ前後のあの足の重さ、絶望はなんだったんだろう。荷物の準備、ドロップバッグの移し替えなどいろいろ足りてないところもあった。もっとうまくやればもっと早く走れたかもしれない。それでも、これが全力。これで今シーズンは完全終了。来シーズンの大会のエントリーがいくつか始まっているらしいけど、今はまだ考えられない。次は何を目標に走ろう。燃え尽きた。満足だ。

2017年6月8日木曜日

6月4日(日)柴又100K その1

柴又100K、100キロ。

届かなかった3分を取り戻しに。

去年初めてウルトラマラソン、柴又100Kを走って、10時間3分。もう100キロなんて二度と走るかって思ったけど、どうしてもサブ10に足りなかった3分が悔しくて、もう一度だけと思ってエントリー。かすみがうらマラソンを終えてから、ロング走を53キロ、53キロ、70キロ、52キロをこなしてきた。70キロ走ったときはあと30キロをどうやって走ることができるのか、想像すらできないほど疲れてしまった。ロング走は去年と同じくらい。じゃあなにを変えればいいのか。去年は100キロ走るのに胃に食べ物が残るのを恐れて、軽めの朝食で済ませて、エイドもろくに取らなかったのが一番記憶に残っている。だから今回はきちんと食べて、食べながら走ることにしよう。
前日は21時前に眠剤をかじって就寝。当日3時起床。シャワーを浴びて、ご飯1.5合に納豆と卵の朝食をとって、出発。始発の山手線、地下鉄を乗り継ぎ、柴又へ。5時38分柴又着。帝釈天に寄り、10時間切れたらまた来ますってお参りして、会場へ。まずトイレ。服を脱いで着替えて、50キロ地点に置いておくドロップバッグに荷物を移して、荷物を預けて、もう一度トイレに寄って、スタート地点に並ぶ。しばしして6時30分、登録の部スタート。さあいよいよだ、4時40分までに戻ってこられるか。列が進んでけっこう前の方に並べた。そして6時40分、スタート。
ロスは4秒。レースプランは50キロまでキロ5分で行って、50キロの折り返しのエイド、去年は15分かかったところをできるだけ短くして、帰りもできるだけ粘って、70キロ以降はキロ6分以内に収めるといったところ。去年のペースがどのくらい落ちていったのか覚えていないけど、前半キロ5分、残り30キロをキロ6分にできれば、エイドで止まった分を考えてもサブ10はなんとかできるんじゃないかなあと思う。はじめのほう、ラップはキロ4分45秒前後。うん、これくらいでいこう。と、3キロすぎで車が横断するとのことでいきなり止められる。おいおい100キロの中のたった数秒、十数秒とはいえ、これは焦る。そしてまた走り出して、6キロ、また車の横断で止められる。おいなんだよこれ。後ろのランナーが2回目かよって言うのが聞こえる。あなたもですか。そのあとは順調に進んでいく。太陽は雲に覆われて日射しはまだ強くない。このままいければなあ、などと思う。沿道のスタッフの方がおはようございます、がんばってくださいってあいさつしてくれる。そうか、まだ7時、8時なんだ、おはようの時間なのかあ。起きてからもう4、5時間経っているのになあ、やっぱウルトラマラソンっておかしいや。
15キロ過ぎころから、少しペースが落ちてきているのに気づく。それと同時に尿意を感じてきているのにも。ペースが落ちているのはこの尿意のせいか。どうしよう。行けるなら早めに行っておいた方がいいか、100キロの長丁場だし、それほどのロスじゃない。と思い、20キロ地点でトイレに寄る。朝は脱水を避けるために会場に着いてから500ミリリットルのアクエリアスにメダリストのアミノダイレクトを溶かして飲んでいた。脱水になるよりはいいか。走りを再開し、21キロ地点でペース5分半。だいたい30秒のロスかあ。トレに寄るなんて初めてだったかもしれん、いやいや去年の柴又で寄ってるじゃねえか、とひとりでつっこみ、走っていく。雲がなくなり、太陽が出てきて、気温も上がってきたのが分かる。
25キロ過ぎ、あれ、なんだか足に疲労を感じる。おいおいまだたかが25キロだぞ、いつも走ってる距離だろ。と思いながら、なんでこんなに早く疲れが出てきているんだ、こんなんじゃ後半どうなってるか分からんぞ。そう感じるのと同じくらいで、風が強くなってきた。30キロ過ぎて足にはっきりとした疲労を感じるとともに、風はどんどん強くなる。いや強いなんてもんじゃない、暴風に近い。前からというか横から思い切り風が吹いてくる。距離表示のコーンが倒されているのか倒しているのか、ほとんどすべてコース横に倒れている。帽子はすでに脱いでいる。日射しが強いけれど風のおかげでそれほど暑くないのかも、助かっているのかもしれない、なんて思うけれど、さすがにこの風はひどい。ときどきなんだよこれ! と口に出して叫んでしまう。ランナーの横を風強過ぎますよって言いながら抜いていく。ああ、去年のほうがコンディションよかったなあ、去年10時間切れていればなあ、これで復路も向かい風だったらぶち切れるぞ、なんてことをずっと思いながら走り続ける。
40キロ手前で河川敷を離れてエコ・スポいずみのエイドへ。ボランティアの方々が梅干しとかを差し出してくれるけど、大丈夫ですって断り、水だけ取って駆け抜ける。そしてエイドを抜け、河川敷に戻り、橋を渡り、ここが3か所目となる未舗装路へ。いつも通りシューズはビブラムVFFなのでできるだけ端の芝生の上を走るけれど、今度は草が邪魔して思うように走れない。石もときどき踏んでしまう。あまりにも長くて、ペースも落ちてきていて、砂利が少ないところがなく足裏へのダメージがひどくて、心が折れかける。いや、この砂利道を抜けたころには完全に折れてしまう。45キロ過ぎから50キロの五霞町のレストステーションまで、どんどんペースが落ちているのが分かる。他のランナーにどんどん抜かれていく。なんとか、なんとかキロ5分で折り返したい、と思いながら、長い長い道路を走り、ようやくレストステーション。キロ5分なら50キロ地点で10時50分だけど、目に入ってきた50キロ地点の時計は、10時53分。あー・・・、だめだった。去年は50キロでペース5分17秒だったはずだから、ええと、分からん。去年とそんなに変わらんだろう。とにかく必死にあと400メートルを走り、レストステーションに到着。水を飲んで、トイレに寄り、かぶり水をかけてもらい、トマトを受け取り、ドロップバッグを受け取る。今年は時間短縮のためにシャツを着替えることもせず、時間がない時間がないとつぶやきながら、急いで補給食を補充して、軽く日焼け止めを塗り、足の痛みを感じていたから一旦VFFを脱いでみたら、案の定擦りむけて血が出ている。絆創膏をはり、急いで履き直して、もう一度水を受け取ってアミノダイレクトを飲んで、レース再開へ。ここで去年と同じく被り物、さくらんぼを被る。去年はここで15分かかったけれど、今年は10分。かなり急いだのに、こんなものかよ。余裕がない。

続く。