当日。朝5時に目覚ましをかけたけど、少し前に目覚める。浴槽に熱めの湯を張って浸かる。外を見ると、地面が濡れている。ああ、やっぱり雨なのか。朝食に向かう。ごはんおかわりして3杯食べた。エネルギーじゅうぶん。ごちそうさまでした。朝食を早くしてくれるのは本当にありがたい。来年参加したら、またここに泊まりたいなって思う。それともいわきのホテルはどこもそうなのかしら。着替えて、6時40分過ぎにホテルを出て駅前のバス乗り場へ。傘はささなくてもいいくらいだけど、雨が少し降っているなあ。バスに乗り、7時すぎに会場に到着。体育館へ。もう人がけっこういる。壁際に座り、ああ、まだ時間あるなあ、と横になる。
起きて、トイレに行き、服を脱いで、8時過ぎにスタート地点へと向かう。ところで、体育館のトイレ、1階に行ったら2階がすいているよって係りの人に言われて、2階に行ったら、個室の数に比べてスリッパが少なくて、けっこう待たされた。荷物を預けて、Aブロックへ。VFFが濡れるのを少しでも防ごうと、ビニール袋で包んで履いていたけど、結局スタート前に濡れてしまう。そしてさくらんぼのかぶり物をかぶる。今回はかぶり物で走る。みんな喜んでくれるかな、声かけてくれるかな、周りのランナーはやな顔しないかな、などと思っているうちに、いよいよスタート。市長のスタートのかけ声がずれて、ピストルのタイミングが早すぎて笑ってしまった。それにしても、陸連公認レースなのに、ピリピリした感じがまったくなくて楽しい雰囲気がただよっている。いいレースになりそう。
スタート地点でのタイムロスは25秒くらい。サブスリーを達成してからはグロスでのタイムを基準に考えているから、スタートの号砲で押すことにしてる。スタートしてすぐアップダウン。どんどん抜いていく。しばらくしてウォッチを見ると、キロ4分6秒くらいだった。よし今回はこれくらいで行こう。大きな道路を走っていく。沿道からさくらんぼーとか、さくらんぼがんばれーとかって声がかかる。はいっ、ありがとー、すごくうれしい。これだけ自分に向かって応援されると、これからも仮装で走りたくなっちゃうよね。ちなみにチェリーボーイって2回声かけられました。
それにしても風が強い。時おりあからさまに走りが妨げられる風が当たる。集団で、肘に隣にいたランナーがぶつかる。そのランナーがすみません風すごいですねって話しかけてくる。ほんとすごいですね、前から横からひっきりなしですね、って返しながら走っていく。10キロ地点に置かれていたタイムボードは43分。まあまあか。そしてしばらく、カーブを曲がると、海が見えてきた。おおー、海だ、これがいわきの海か。空は曇り、波が高い。風も強い。道端に大漁旗がたくさんたくさんかかっている。ここが江名かあ。暑くなってきたし、雨も上がったようなので、かぶっていたゴミ袋を脱ぐ。しばらく走り、トンネルを抜け、折り返し。人がいっぱいいる。みんな笑顔で応援してくれる。こっちも手を振り返す。みんな元気だ。折り返しを戻っていく。すると、海が近いのもあるのか、風が一段と強い。なんだよこれとつぶやきながら走る。ああ、さっきの折り返しの応援でペースが上がりすぎたかも、42キロもたないかもしれない、などと思いながら、20キロのタイムは1時間28分、そしてハーフ地点では1時間31分。ああ、サブスリーは無理か。ちょっときつい。ここからペースを上げられる気がしない。でも精いっぱい走ろう。
そこからすぐ、大きな坂が現れる。ここがいわきサンシャインマラソン名物の坂かあ、いや終盤のほうだっけ、あーコースきちんと見てくるの忘れてた。などと思いながら、淡々と登っていく。周りはだいぶゆっくり、歩いている人もいる。登りきり、これがマリンタワーっていうんだっけとつぶやく。エイドがあって、トマトとイチゴが見える。トマトを取って、イチゴも取ろうとしたら、タイミングが合わずにイチゴを取り逃がす。ああ、ごめんなさい。途中でトマトをかじる。おいしい。しかし、トマトっていうのは皮が口に残るのがネックだなあ、湯むきしてあればいいのになあ、などと適当なことを思いながら、一気に下り坂を下り、小名浜港へ。応援の人がいっぱいいる。手を振るとみんな笑顔で返してくれる。なにこれめっちゃうれしい。人がずっと続いている。あとから気づいたけど、ここはゴール地点だったのね。10キロとか他部門の人たちもいるからこんなににぎやかだったのか。ずっと手を振っていたかったけど、給水があって、そっちに意識がいってしまい、沿道の歓声にこたえられない地点があった。ここくらいは給水がなくてもいいかもしれん、などと思いながら、給水を取って、また手を振り返して走る。港沿いを走っていく。そして一般道路に出て、27キロ過ぎからは人が少なくなる。
30キロあたりでここから大きい坂がありますってアナウンスが繰り返されているのを聞きながら行くと、マリンタワーほどじゃないけど大きな坂があり、登り切ると、小さい女の子たちがぼんぼんを持って応援してくれている。ああ、これが女子小学生ちゃんのチアガールか。かわいいなあ。手を振りながら通り抜ける。しばらく走っていくと、あれ、なんだかわき腹が痛い。うお、ついに異変か。ちくしょうこれ以上はスピード上げられないか。そして折り返し。来た道を戻っていく。沿道の給水で、おにぎりを用意してくれている。さくらんぼって応援をもらっておにぎりを差し出されるけど、食べられないや。ごめんなさいしながら通り過ぎる。ふと気づくと、わき腹の痛みが消えている。よっしゃ、ラスト気張っていこう。
登ってきた大きな坂を今度は下り、ラストの直線へ。さくらんぼを目にして手を振ってくれる、すれ違うランナーに手を振り返し、よしスピードも落ちていない。ラストまで淡々と走って、足が止まったランナーを順調に抜いていく。FINISHの文字が見えた。やったーゴールだー、と思いながら走っていくと、ゴール手前でひとりのランナーに抜かれる。えっ。これまでマラソンのラスト近くで抜かれたことがなかったからなにが起きたか一瞬分からない。気づいたら全力でダッシュして追いかけていた。ゴール両脇にたくさん人がいたみたいだけど、一心不乱にダッシュで駆け抜ける。ゴール。いつも通りゴール後ろの人混みに突っ込む。はあ、はあ、はあ。かぶり物ランナーとしては最後は笑顔でみんなに手を振りながらゴールしたかったんだけど、これは完全に失格ランナーです。タイムは3時間3分。前半ハーフと後半ハーフがほぼ完全に同ペース。
いわき名物レイをかけてもらい、さくらんぼが邪魔してレイをかけてくれる子をてこずらせたり、預けていた荷物を受け取り、重い荷物でごめんねって声をかけたりして、着替えのテントへ。着替えて、屋台やステージの会場へ向かい。カジキメンチやサンマつみれ汁をいただき、カジキスパゲティは伸びてたけど、いただき、フラを見ながら、いよいよいわきサンシャインマラソンともお別れ。3年間走りたくて走りたくて、憧れ続けたマラソンともついにお別れだ。町をあげて、みんな笑顔で、ストレスのまったくない運営で、評判どおりのすばらしい大会だった。ありがとういわき。さようならいわき。
3年間憧れ続けたレースをついに走ることができた。でも、完全燃焼できただろうか。天候がどうなるのか分からず、遠征でいつも通りの準備ができず、中途半端にかぶり物をして、初めて走るコースで記録は出にくいと聞いていて、コンディションを整えるのが難しいのは確かだった。しかしそれでも、3時間3分。本当に力がついているなら、これくらいでサブスリーを逃しはしないだろう。つまりは結局いつでもサブスリーできるような走力ではないということ。たしかに年明けからは走るのをさぼっていたわけだし。そして、楽しむという点で、全力で楽しめただろうか。かぶり物をして、直接応援してもらって、それに応えて走ったけれど、なにか記録狙いを捨てきれない部分があったのかもしれない。ラストスパートなんて本当にやり直したいほど悔いが残る。
来年またいわきに戻って来たい。今度は思いっきり、いわきという町を、いわきサンシャインマラソンというすばらしい大会を、全力で楽しみたい。そのために1年、コースを走るだけではないなにかを見つけるために、なにができるか、どうすればいいのか、考えて、走り続けよう。
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